uos -- 基本的な「オペレーティングシステム」サービス

このモジュールは、該当する `CPython` モジュールのサブセットを実装しています。 詳しくはオリジナルの CPython ドキュメンテーションを参照してください: os.

uos モジュールには、ファイルシステムのアクセス、マウント、ターミナルのリダイレクトと複製、unameurandom のための関数があります。

一般関数

uos.uname()

基盤のマシンやオペレーティングシステムに関する情報を含むタプル(おそらく名前付きタプル)を返します。タプルには次の5つのフィールドがあり、それぞれが文字列です。

  • sysname -- 基盤システムの名前
  • nodename -- ネットワーク名(sysname と同じこともあります)
  • release -- 基盤システムのバージョン
  • version -- MicroPython のバージョンとビルド日付
  • machine -- 基盤ハードウェアの識別子(ボード、CPUなど)
uos.urandom(n)

n 個のランダムバイトを持つバイト列オブジェクトを返します。可能な限り、ハードウェア乱数生成器によって乱数を生成します。

ファイルシステムのアクセス

uos.chdir(path)

カレントディレクトリを変更します。

uos.getcwd()

カレントディレクトリのパスを返します。

uos.ilistdir([dir])

この関数はイテレータを返します。イテレータが生成するのは、ディレクトリ内のエントリに対応するタプルです。引数なしの場合はカレントディレクトリを、それ以外の場合は dir で指定したディレクトリをリストします。

タプルの形式は (name, type, inode [, size]) です。

  • name は文字列(dir バイト列オブジェクトの場合はバイト列)であり、エントリの名前です。
  • type はエントリのタイプを指定する整数で、ディレクトリの場合は 0x4000、通常のファイルの場合は 0x8000 です。
  • inode はファイルのiノードに対応する整数であり、そのような概念を持たないファイルシステムについては 0 になります。
  • 一部のプラットフォームでは、エントリのサイズを含む4タプルが返されることがあります。ファイルエントリの場合、 size はファイルのサイズを表す整数で、未知の場合は -1 です。現在のところ、ディレクトリエントリについては未定義です。
uos.listdir([dir])

引数を指定しない場合は、カレントディレクトリ内のエントリを表示します。それ以外の場合は指定されたディレクトリ内のエントリを表示します。

uos.mkdir(path)

新規にディレクトリを作成します。

uos.remove(path)

ファイルを削除します。

uos.rmdir(path)

ディレクトリを削除します。

uos.rename(old_path, new_path)

ファイルの名前を変更します。

uos.stat(path)

ファイルまたはディレクトリのステータスを取得します。

uos.statvfs(path)

ファイルシステムの状態を取得します。

次の順序でファイルシステム情報を含むタプルを返します。

  • f_bsize -- ファイルシステムのブロックサイズ
  • f_frsize -- フラグメントサイズ
  • f_blocks -- f_frsize 単位の fs のサイズ
  • f_bfree -- 空きブロックの数
  • f_bavail -- 権限なしユーザーのための空きブロック数
  • f_files -- iノード数
  • f_ffree -- フリーのiノードの数
  • f_favail -- 権限なしユーザの空きiノード数
  • f_flag -- マウントフラグ
  • f_namemax -- 最大ファイル名の長さ

iノードに関連するパラメータ f_files, f_ffree, f_avail, f_flags は、ポート固有の実装で使えない場合には 0 になります。

uos.sync()

すべてのファイルシステムを同期します。

ターミナルのリダイレクトと複製

uos.dupterm(stream_object, index=0)

与えた strean オブジェクトに MicroPython 端末(REPL)を複製または切り替えを行います。 stream_object の引数は readinto()write() メソッドを実装しなければなりません。ストリームは非ブロッキングモードで、 readinto() は読み込み可能なデータがない場合は None を返すようにします。

この関数を呼び出した後、すべての端末出力がこのストリーム上で繰り返され、ストリーム上で利用可能なすべての入力がターミナル入力に渡されます。

index パラメータは負でない整数であり、設定されている複製を指定します。ポートは2つ以上のスロットを実装できます(スロット 0 は常に使用可能です)。その場合、端末の入出力は設定されているすべてのスロットに複製されます。

stream_objectNone を渡した場合、 index によって指定されたスロットで重複が取り消されます。

この関数は、指定したスロットの前のストリームオブジェクトを返します。

ファイルシステムのマウント

いくつかのポートは仮想ファイルシステム(VFS)を提供し、この VFS 内に複数の「実」ファイルシステムをマウントする機能を備えています。ファイルシステムオブジェクトは、VFS のルート、またはルートに存在するサブディレクトリにマウントできます。これにより、Python プログラムで見られるファイルシステムの動的で柔軟な設定が可能になります。この機能を持つポートは mount()umount() 関数、そしておそらく VFS クラスで表されるさまざまなファイルシステムの実装を提供します。

uos.mount(fsobj, mount_point, *, readonly)

ファイルシステムオブジェクト fsobjmount_point 文字列で指定した VFS 内の場所にマウントします。 fsobj には mount() メソッドを持つ VFS オブジェクト、またはブロックデバイスを指定できます。ブロックデバイスであればファイルシステムタイプが自動的に検出されます(ファイルシステムが認識されない場合は例外が発生します)。 mount_point'/' であれば fsobj をルートににマウントし、'/<name>' であればルート配下のサブディレクトリにマウントします。

readonlyTrue であればファイルシステムが読み取り専用でマウントされています。

マウント処理では、ファイルシステムオブジェクトに対してメソッド mount() 呼出します。

mount_point に既にマウントされていれば OSError(EPERM) 例外が発生します。

uos.umount(mount_point)

ファイルシステムをアンマウントします。 mount_point には、マウント場所を指定する文字列、または以前にマウントされたファイルシステムオブジェクトを指定できます。アンマウント処理では、ファイルシステムオブジェクトに対してメソッド unmount() 呼出します。

"mount_point が見つからなければ OSError(EINVAL) 例外が発生します。

class uos.VfsFat(block_dev)

FAT ファイルシステムのフォーマットを使うファイルシステムオブジェクトを作成します。FAT ファイルシステムのストレージは block_dev によって提供されます。このコンストラクタによって作成されたオブジェクトは mount() を使ってマウントできます。

static mkfs(block_dev)

block_dev に FAT ファイルシステムを構築します。

ブロックデバイス

ブロックデバイスは、ブロックプロトコルを実装するオブジェクトです。これは後述する AbstractBlockDev クラスのメソッドのセットです。このクラスの具象サブクラスでは通常、フラッシュメモリなどのハードウェアの一部にメモリのような機能へのアクセスが許可されます。特定のファイルシステムドライバがブロックデバイスを使用して、ファイルシステム用のデータを格納できます。

class uos.AbstractBlockDev(...)

ブロックデバイスオブジェクトを構築します。コンストラクタへのパラメータは、特定のブロックデバイスに依存します。

readblocks(block_num, buf)

インデックス block_num で指定したブロックから、デバイスから buf (バイト列)にブロックを読み込みます。読み込むブロック数は buf の長さで与えられ、ブロックサイズの倍数になります。

writeblocks(block_num, buf)

インデックス block_num で指定したブロックに buf (バイト列)からブロックを書き込みます。書き込むブロック数は buf の長さで与えられ、ブロックサイズの倍数になります。

ioctl(op, arg)

ブロックデバイスを制御し、そのパラメータを問い合わせます。実行する操作は op に次の整数のうちの1つで指定します。

  • 1 -- デバイスを初期化します(arg は未使用)
  • 2 -- デバイスをシャットダウンします(arg は未使用)
  • 3 -- デバイスを同期します(arg は未使用)
  • 4 -- ブロック数のカウントを取得し、整数で返します(arg は未使用)
  • 5 -- ブロック内のバイト数を取得し、整数で返します。 None の場合はデフォルト値の 512 が使われます(arg は未使用)

一例として、次のクラスは bytearray を使って RAM にデータを記憶するブロックデバイスを実装します:

class RAMBlockDev:
    def __init__(self, block_size, num_blocks):
        self.block_size = block_size
        self.data = bytearray(block_size * num_blocks)

    def readblocks(self, block_num, buf):
        for i in range(len(buf)):
            buf[i] = self.data[block_num * self.block_size + i]

    def writeblocks(self, block_num, buf):
        for i in range(len(buf)):
            self.data[block_num * self.block_size + i] = buf[i]

    def ioctl(self, op, arg):
        if op == 4: # ブロック数を取得
            return len(self.data) // self.block_size
        if op == 5: # ブロックサイズを取得
            return self.block_size

次のように使えます:

import uos

bdev = RAMBlockDev(512, 50)
uos.VfsFat.mkfs(bdev)
vfs = uos.VfsFat(bdev)
uos.mount(vfs, '/ramdisk')